透水係数とは?目安や求め方・単位、ヘーゼンの式まで解説していきます。
土木や地盤の分野で透水係数という言葉に出会うと、聞き慣れない単位や複雑な計算式に戸惑ってしまうことはないでしょうか。
透水係数は土や岩盤が水をどれくらい通しやすいかを示す重要な指標であり、地盤改良や排水設計、液状化の検討など幅広い場面で利用されています。
土質ごとにおおよその目安が決まっているため、現場での判断材料としても非常に役立つ数値です。
この記事では透水係数の意味や単位といった基本から、土質別の目安、求め方、ヘーゼンの式やクレーガーの式といった推定式まで、丁寧に解説していきます。
土木の試験対策や現場での実務にもお役立ていただける内容です。
それでは早速見ていきましょう。
透水係数とは何か 結論として押さえるべきポイント
それではまず透水係数とは何か、結論として押さえるべきポイントについて解説していきます。
透水係数とは、土や岩盤の中を水がどれくらいの速さで通り抜けられるかを表す指標です。
記号 k
単位 cm/s または m/s
意味 水が土の中を通り抜けやすさを示す数値
特徴 値が大きいほど水を通しやすい
透水係数の値が大きい土ほど水を通しやすく、値が小さい土ほど水を通しにくいという、シンプルでわかりやすい関係になっています。
たとえば礫や砂のような粒の大きい土は透水係数が大きく、粘土のような粒の細かい土は透水係数が小さいという傾向があります。
この値はダルシーの法則という基本原理にもとづいて定義されており、室内試験や現場試験によって測定したり、粒径から推定式を使って計算したりすることができます。
この後の章では、透水係数の単位の読み方、土質別の目安、ダルシーの法則を使った求め方、室内試験や現場試験の方法、そしてヘーゼンの式やクレーガーの式といった推定式について、順番に詳しく確認していきます。
透水係数の単位と意味
続いては透水係数の単位とその意味について確認していきます。
透水係数の単位の読み方
透水係数の単位はcm/s、つまりセンチメートル毎秒で表されることが一般的です。
これは1秒間に水がどれくらいの距離を移動できるかという速度の単位と同じ形をしています。
国際単位系で表す場合はm/s、つまりメートル毎秒が使われることもあり、1m/sは100cm/sに相当します。
分野によってはm/dayという1日あたりの移動距離で表す場合もあるため、文献や資料を読む際には単位の換算に注意しておくとよいでしょう。
透水係数の単位変換
異なる単位同士を変換する際の基本的な関係を整理しておきましょう。
| 単位 | 変換後 |
|---|---|
| 1 m/s | 100 cm/s |
| 1 cm/s | 864 m/day |
| 1 m/day | 約0.00116 cm/s |
こうした単位変換は、異なる資料や試験結果を比較する際に必要になる場面が多いため、基本的な換算の考え方を理解しておくと安心です。
透水係数が示す物理的な意味
透水係数という数値が示しているのは、単に水の通りやすさだけでなく、その土の間隙の大きさや連続性も反映した複合的な指標です。
間隙が大きく連続している土ほど水が通りやすいため透水係数は大きくなり、間隙が小さく不連続な土ほど透水係数は小さくなります。
土の粒径や密度、間隙の構造などが透水係数に影響を与える要素として知られているでしょう。
土質別の透水係数の目安と一覧
続いては土質ごとの透水係数の目安と、一覧での比較について確認していきます。
透水係数が大きい土質
礫や砂礫のような粒の大きい土は、間隙も大きいため透水係数が大きくなる傾向があります。
こうした土質は水を通しやすいため、排水性を重視する場所の材料として利用されることが多いでしょう。
排水性舗装に使われる材料や、いわゆるRC-40のような砕石材料も、比較的大きな透水係数を示す代表例です。
透水係数が小さい土質
粘土やシルトのような粒の細かい土は、間隙が小さく水の通り道が限られているため、透水係数は非常に小さくなります。
不透水層として扱われる地盤の多くは、粘土質の層であることが知られているでしょう。
関東ローム層のような火山灰質の土も、構造の特性によって独特な透水係数の値を示すことがあり、地域ごとの地盤特性として注目されています。
土質別の透水係数一覧表
代表的な土質と透水係数の目安を一覧にまとめておきます。
| 土質区分 | 透水係数の目安 cm/s | 水の通しやすさ |
|---|---|---|
| 礫 | 1 から 10の2乗 | 非常に大きい |
| 砂礫 | 10のマイナス1 から 1 | 大きい |
| 砂 | 10のマイナス3 から 10のマイナス1 | 中程度 |
| シルト | 10のマイナス6 から 10のマイナス4 | 小さい |
| 粘土 | 10のマイナス9 から 10のマイナス6 | 非常に小さい |
この表を見ると、土質が粗いものから細かいものへ移るにつれて、透水係数が桁違いに小さくなっていく様子がわかるでしょう。
透水係数は10のべき乗のオーダーで大きく変化する数値であるため、わずかな土質の違いでも結果が大きく変わってくる点が特徴です。
透水係数の値は土質によって何桁も変わってくるため、対象となる土がどの区分に属するのかをまず確認することが、目安を考える際の第一歩になります。
透水係数の一般値とコンクリートなど材料別の目安
続いては自然の土だけでなく、コンクリートなど人工材料における透水係数の一般値についても確認していきます。
コンクリートの透水係数
一般的な密実なコンクリートは非常に小さい透水係数を示し、水をほとんど通さない材料として扱われます。
一方でポーラスコンクリートのように内部に多数の空隙を持たせた材料では、通常のコンクリートとは比較にならないほど大きな透水係数を示します。
用途によって透水性を高めたコンクリートと、逆に透水性を抑えたコンクリートが使い分けられている点が興味深いポイントです。
モルタルやベントナイトの透水係数
モルタルもコンクリートと同様に、配合や密実度によって透水係数が変わりますが、基本的には水を通しにくい材料として扱われます。
反対にベントナイトは膨潤性を持つ特殊な粘土で、非常に小さな透水係数を示すことから、遮水材料として地盤改良や廃棄物処分場の遮水層などに利用されています。
飽和透水係数と透水係数の違い
土の中の間隙がすべて水で満たされた状態を飽和状態と呼び、このときの透水係数を飽和透水係数と呼びます。
一方で間隙の一部に空気が含まれる不飽和状態では、透水係数の値は飽和時よりも小さくなる傾向があります。
一般的に透水係数という言葉を使う場合、特に断りがなければ飽和透水係数を指していることが多いと考えてよいでしょう。
不飽和の状態を扱う場合は、飽和透水係数とは別に不飽和透水係数という概念が用いられる点も覚えておくと安心です。
透水係数の求め方 ダルシーの法則
続いては透水係数の基本的な求め方として、ダルシーの法則について確認していきます。
ダルシーの法則の式
透水係数を求める際の基本となるのがダルシーの法則です。
v = k × i
v 流速
k 透水係数
i 水力勾配
この式は、水の流れる速さが透水係数と水力勾配の積で決まることを示しています。
水力勾配とは、水位の差を流れる距離で割った値であり、勾配が急であればあるほど水は速く流れることを意味します。
流量から透水係数を求める方法
実際の試験では、流速ではなく単位時間あたりの流量を測定することが多いため、流量Qと断面積Aを使った形に式を変形して考えます。
Q = k × i × A
k = Q ÷ (i × A)
この式を使えば、試験で測定した流量と水力勾配、断面積から透水係数を逆算することができます。
計算の具体例
実際にどのように計算するのか、簡単な例で確認してみましょう。
断面積A = 50平方センチメートル
水力勾配i = 0.5
流量Q = 10立方センチメートル毎秒
k = 10 ÷ (0.5 × 50) = 0.4 cm/s
このように測定値を式に当てはめるだけで、透水係数を求めることができます。
試験で得られる数値の単位をそろえてから計算することが、正確な結果を得るための注意点になるでしょう。
透水係数の試験方法 室内試験と現場試験
続いては透水係数を実際に測定するための試験方法について確認していきます。
定水位透水試験
定水位透水試験は、試料の両端の水位差を一定に保ちながら、流れ出る水の量を測定する方法です。
主に透水性の高い砂や礫のような土質に適した試験方法として知られています。
水位差が一定であるため計算が比較的シンプルであり、先ほど紹介したダルシーの法則をそのまま当てはめやすいという特徴があります。
変水位透水試験
変水位透水試験は、水位が時間とともに下がっていく様子を観察し、その変化から透水係数を求める方法です。
粘土やシルトのような透水性の低い土質に適しており、定水位透水試験では測定が難しい小さな透水係数の値を求める際に利用されます。
水位の変化を対数的に処理した式を使って計算するため、定水位試験よりも計算の手順が少し複雑になる点が特徴です。
現場透水試験とルジオン試験
室内試験だけでなく、実際の地盤で直接測定する現場透水試験も広く行われています。
ボーリング孔を利用して水を注入したり排水したりすることで、その場の地盤の透水性を確認する方法です。
岩盤を対象とした試験ではルジオン試験という方法が用いられることがあり、ルジオン値という独自の指標で結果が示されます。
ルジオン値は透水係数とは異なる単位を持つ指標ですが、おおよその換算関係を使うことで透水係数に近い値として扱われることもあります。
透水性の高い土質には定水位透水試験、透水性の低い土質には変水位透水試験というように、対象となる土質によって適した試験方法を選ぶことが重要です。
ヘーゼンの式による透水係数の推定
続いては室内試験を行わずに透水係数を推定する方法として、ヘーゼンの式について確認していきます。
ヘーゼンの式とは
ヘーゼンの式は、砂質土の粒径から透水係数を推定するための経験式です。
k = C × D20の2乗
k 透水係数 cm/s
C 係数 おおよそ100
D20 有効径 ミリメートル
D20とは、粒径分布の中で20パーセントの土粒子がそれよりも小さい粒径に含まれる、いわゆる有効径を指します。
この式を使えば、粒度試験の結果から比較的簡単に透水係数のおおよその値を見積もることができます。
ヘーゼンの式の適用範囲
ヘーゼンの式は、もともと比較的均一な粒径を持つ砂質土を対象として作られた経験式です。
粒径が不均一な土や、粘土質を多く含む土に対してはこの式の精度が低くなるため、適用する際には土質の条件をよく確認する必要があります。
あくまで実測値の代わりとなる簡易的な推定手段であるという点を理解しておくことが大切でしょう。
ヘーゼンの式を使う際の注意点
係数Cの値は文献によって多少異なる場合があり、おおよそ100から150程度の範囲で示されることが多いでしょう。
正確な透水係数が必要な設計においては、ヘーゼンの式による推定値だけに頼らず、室内試験や現場試験による実測値を併用することが望ましいとされています。
クレーガーの式による透水係数の推定式
続いては、もう一つの代表的な推定式であるクレーガーの式について確認していきます。
クレーガーの式とは
クレーガーの式は、ヘーゼンの式と同様に粒径から透水係数を推定するための経験式の一つです。
k = C × D20の2乗 × f(n)
D20 有効径
f(n) 間隙率に関する係数
ヘーゼンの式が粒径だけを変数とするのに対し、クレーガーの式は間隙率という要素も組み込んでいる点が大きな違いです。
間隙率を考慮することで、より実際の土の状態に近い推定値が得られるとされています。
クレーガーの式の適用範囲
クレーガーの式は、ヘーゼンの式よりも広い粒径範囲に適用できる推定式として知られています。
砂質土だけでなく、ある程度礫を含む土質にも利用できる場合があり、現場での適用範囲が広いという特徴を持っています。
ただし間隙率を求めるための追加のデータが必要になるため、ヘーゼンの式に比べると計算の手間が少し増える点も覚えておきましょう。
ヘーゼンの式とクレーガーの式の比較
二つの推定式を比較すると、それぞれに適した使い分けのポイントが見えてきます。
| 項目 | ヘーゼンの式 | クレーガーの式 |
|---|---|---|
| 変数 | 有効径のみ | 有効径と間隙率 |
| 適用範囲 | 均一な砂質土 | 砂質土から礫質土まで |
| 計算の手間 | 比較的簡単 | やや複雑 |
どちらの式もあくまで推定式であるため、重要な設計に用いる際は実測値による検証を併用することが望ましいでしょう。
透水係数が使われる場面と実務での活用
続いては透水係数が実際にどのような場面で活用されているのか確認していきます。
排水計画や地盤改良での活用
透水係数は、地盤の排水性を評価する際に欠かせない指標です。
透水係数が小さい地盤では水がたまりやすいため、排水計画を立てる際にこの値を確認しておく必要があります。
地盤改良工事においても、改良後の地盤がどの程度の透水性を持つかを把握するために透水係数が測定されることが多いでしょう。
液状化の検討との関係
地震時に発生する液状化現象を検討する際にも、透水係数は重要な要素のひとつとして扱われます。
透水係数が大きい土質は地震後の水の抜けが早く、液状化による影響が比較的早く収まる傾向があるとされています。
反対に透水係数が小さい土質では水が抜けにくく、液状化の影響が長く続く可能性があるため、対策を検討する際の参考情報として利用されます。
遮水構造物での活用
ダムや廃棄物処分場のように水を漏らさないことが求められる構造物では、透水係数の小さい材料を選定することが極めて重要です。
先ほど紹介したベントナイトのような遮水性の高い材料は、こうした構造物の遮水層として広く利用されています。
透水係数の確認は、構造物が安全に機能するかどうかを判断するうえでも欠かせない検討項目といえるでしょう。
まとめ
今回は透水係数について、意味や単位、土質別の目安、ダルシーの法則を使った求め方、室内試験や現場試験の方法、さらにヘーゼンの式やクレーガーの式といった推定式まで幅広く解説してきました。
透水係数は土や岩盤が水をどれくらい通しやすいかを示す指標で、単位はcm/sやm/sで表されるのでした。
土質によって値は何桁も変化し、礫や砂は大きく、シルトや粘土は小さい傾向があります。
透水係数はダルシーの法則を用いて求められ、定水位透水試験や変水位透水試験といった実験方法、あるいはヘーゼンの式やクレーガーの式といった推定式によっても得ることができます。
排水計画や地盤改良、液状化の検討、遮水構造物の設計など、実務のさまざまな場面で透水係数の知識が役立つこともご紹介してきました。
透水係数とは?目安や求め方・単位、ヘーゼンの式まで解説という疑問を持っていた方も、これで透水係数について体系的に理解できたのではないでしょうか。
ぜひ今回の内容を試験対策や実務にお役立てください。
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