握力の鍛え方や知識

握力100kgは人間離れ?到達できる人の割合と鍛え方を徹底解説

握力100kgと聞いて、あなたはどんなイメージを持つでしょうか。「人間離れした力」「プロのアスリートだけが持つ数値」そんな印象を抱く方が多いかもしれません。

実際のところ握力100kgは一般人にとって極めて高いレベルであり、到達できる人はごくわずかです。しかし世界には握力100kgを超える人々が存在し、中には150kgを超える記録保持者もいるのです。

本記事では握力100kgがどれほど凄い数値なのか、到達できる人の割合や特徴を詳しく解説していきます。さらに動物の握力との比較や、一般人が100kgを目指す場合の現実的なトレーニング方法まで網羅的にお伝えしますので、ぜひ最後までご覧ください。

握力100kgはどれくらい凄いのか?

それではまず、握力100kgがどれほど特別な数値なのかについて解説していきます。

一般人における握力100kgの割合

握力100kgに到達している人は、全人口の0.1%未満、つまり1000人に1人もいないと推定されます。これは極めて稀な存在と言えるでしょう。

男性の平均握力が46kg前後であることを考えると、100kgはその2倍以上。通常のトレーニングだけでは到達が難しく、特殊な才能や環境が必要なレベルなのです。

握力レベル 数値 人口における割合
平均的 40〜50kg 約50%
やや強い 50〜60kg 約30%
かなり強い 60〜70kg 約15%
非常に強い 70〜80kg 約4%
極めて強い 80〜90kg 約0.5%
人間離れ 90〜100kg 約0.1%
世界レベル 100kg以上 0.01%未満

興味深いのは、握力100kg保持者のほぼ全員が男性であること。女性で100kgに到達した例は世界的に見てもほとんど報告されていません。

握力100kgは一般的なトレーニングジムに通う人でも到達困難。専門的なトレーニングと優れた素質が必要

世界記録と日本記録の比較

握力の世界記録は驚異的な数値です。ギネス世界記録として認定されているのは192.5kgで、スウェーデンのマグナス・サミュエルソン氏が保持しています。

日本記録は小笠原優氏の116.5kgとされていますが、非公式記録ではさらに高い数値を持つ人もいるでしょう。ストロングマン競技の選手や、アームレスリングのトップ選手の中には120kg以上の握力を持つ人もいるのです。

世界のトップアスリートと比較すると、握力100kgは「入門レベル」とも言えます。ストロングマン競技やパワーリフティングの世界選手権レベルでは、100kg以上が当たり前なのです。

ただしこれは極めて特殊な世界の話。一般人の感覚で言えば、握力100kgは十分に「人間離れ」したレベルでしょう。

年齢による記録の違いも顕著です。握力は20代後半から30代前半がピークとされており、その時期に最高記録を出す選手が多い傾向があります。

握力100kg保持者の職業・競技

握力100kgを持つ人々には、特定の職業やスポーツ競技に従事しているという共通点があります。

最も多いのがストロングマン競技の選手。この競技は純粋な力を競うもので、握力が直接的に成績に影響します。トップ選手のほとんどが100kg以上の握力を持っているでしょう。

アームレスリングの選手も握力100kg超えが珍しくありません。腕の力だけでなく、握力が勝敗を分ける重要な要素だからです。世界トップクラスの選手では120〜130kgに達することもあります。

パワーリフティングやウエイトリフティングの選手も高い握力を持ちます。デッドリフトで300kg以上を持ち上げるには、それを支える握力が必要なのです。

意外なところでは、樹木の伐採や林業に従事する人の中にも握力100kg級の人がいます。チェーンソーや斧を長年使い続けることで、自然と握力が鍛えられるのでしょう。

プロの格闘家、特に柔道やレスリングのトップ選手も高い握力を持ちます。相手を掴んで投げる技術には、強力な握力が不可欠だからです。

握力100kgで何ができる?潰せるもの一覧

続いては握力100kgで実際に何ができるのか確認していきます。

果物・野菜で潰せるもの

握力100kgあれば、ほとんどの果物や野菜を簡単に握り潰せます。リンゴはもちろん、より硬いものも問題ありません。

果物・野菜 必要な握力 100kgで可能か
リンゴ(大) 60〜70kg ◎ 余裕で潰せる
グレープフルーツ 50〜60kg ◎ 簡単に潰せる
ジャガイモ 70〜80kg ◎ 余裕で潰せる
ニンジン(生) 80〜90kg ○ 潰せる
小さめのカボチャ 90〜100kg △ ギリギリ可能
ココナッツ 120〜150kg × 難しい

リンゴを潰すのは握力50〜60kgでギリギリですが、100kgあれば片手で瞬時に潰せるでしょう。果汁が飛び散るほどの圧力をかけられます。

生のニンジンも握り潰せる可能性があります。ただし形状が細長いため、握る位置や角度によって難易度が変わるでしょう。横方向から握れば潰しやすくなります。

意外と難しいのがココナッツ。非常に硬い殻を持っており、握力100kgでは完全に割ることは困難。ただし亀裂を入れることは可能かもしれません。

カボチャは品種やサイズによって硬さが大きく異なります。小ぶりで熟したものなら100kgで潰せる可能性がありますが、大きな硬いものは無理でしょう。

日用品・スポーツ用品で潰せるもの

日用品に関しても、握力100kgあれば通常では変形しないものも潰せます。その破壊力は日常の想像を超えるレベルでしょう。

アルミ缶は当然のこと、厚手のスチール缶でも凹ませられる可能性があります。通常のスチール缶は握力80〜90kgで変形し始めるため、100kgなら十分な力です。

テニスボールは握力60〜70kgで潰せるとされていますが、100kgあれば完全にペシャンコにできます。内部の空気が一気に抜けるほどの圧力がかけられるのです。

ゴルフボールも握力100kgなら変形させられる可能性があります。通常は人間の握力では変形しないとされていますが、100kgレベルになると話は別でしょう。

クルミも殻付きのまま握り潰せます。通常は70〜80kgの握力が必要ですが、100kgあれば簡単に割れるのです。ただし殻の破片で手を怪我しないよう注意が必要でしょう。

握力100kgでトランプを片手で破くことも可能。ただし技術も必要なため、握力だけでは不十分

厚手の雑誌や電話帳を握り潰すこともできます。ページが密着しているため相当な力が必要ですが、100kgあれば可能でしょう。

握力100kgでも潰せない意外なもの

握力100kgでも潰せないものは意外と多いです。人間の握力には限界があり、構造的に頑丈なものは潰せません

ボウリングのボールは握力100kgでも全く歯が立ちません。プラスチックや樹脂でできており、極めて頑丈な構造なのです。握力200kg以上でも変形させるのは困難でしょう。

野球のボールも意外と硬い。表面は革製ですが、内部は硬く巻かれた糸と芯でできており、握力100kgでは僅かに凹む程度です。

ビー玉やガラス玉は握力では割れません。ガラスは圧縮力に強く、握って割るには数百キロの力が必要。逆に衝撃には弱いため、地面に落とせば簡単に割れるのです。

鉄製のドアノブやハンドルも握り潰すことは不可能。金属の強度は人間の握力をはるかに超えており、100kgでは変形すらしないでしょう。

石やレンガも握力では砕けません。これらを破壊するには、握力ではなく打撃力や圧縮力が必要なのです。

握力100kgを動物に例えると?

続いては握力100kgを動物の力と比較して確認していきます。

チンパンジーやゴリラとの比較

霊長類の中でも、チンパンジーの握力は人間を大きく上回ります。成体のチンパンジーの握力は200〜300kgに達すると推定されているのです。

チンパンジーは体重が人間より軽いにもかかわらず、握力は2〜3倍。これは樹上生活に適応した筋肉の構造と、筋繊維の密度が人間と異なるためでしょう。

ゴリラの握力はさらに驚異的。成体のオスゴリラの握力は500〜600kg、あるいはそれ以上とも言われています。人間の握力100kgは、ゴリラの5分の1程度に過ぎません。

人間の握力100kgは、チンパンジーの半分以下、ゴリラの6分の1程度のレベル

オランウータンも握力が強く、推定250〜350kg程度。長い腕で木にぶら下がる生活をしているため、握力が発達しているのです。

ただし霊長類の握力測定は困難なため、これらの数値は推定値。実際にはもっと高い可能性もあれば、低い可能性もあるでしょう。

人間の握力100kgは霊長類の中では弱い方ですが、それでも他の多くの動物よりは強いレベルなのです。

熊やライオンなど肉食動物との違い

肉食動物の前足の力は、握力という概念とは異なりますが参考になるでしょう。彼らの前足は獲物を捕らえ、押さえつけるための強力な武器です。

ヒグマの前足の一撃は推定600〜800kgの力があるとされています。ただしこれは打撃力であり、握力とは測定方法が異なるため単純比較はできません。

ライオンも前足で獲物を押さえつける力は非常に強く、数百キロの力があると推定されます。しかし彼らの手は握るための構造になっていないため、握力という概念で測ることは困難でしょう。

虎やヒョウなどのネコ科動物も同様。獲物を捕らえる爪と筋肉は強力ですが、人間のように物を握る動作とは異なるのです。

興味深いのは、これらの肉食動物は握力よりも咬合力が圧倒的に強いこと。ライオンの咬合力は約400kg、ヒグマは600kg以上に達します。

人間の握力100kgを動物界で考えると、決して最強ではありませんが、十分に強力なレベル。多くの中型動物よりは強い力を持っていると言えるでしょう。

人間の握力の限界と動物界での位置づけ

人間の握力の理論的な限界は、骨格や筋肉の構造から150〜200kg程度と考えられています。現在の世界記録がその範囲内に収まっているのも納得です。

動物界全体で見ると、人間の握力は中程度のレベル。樹上生活をする霊長類や、前足を器用に使う動物には劣りますが、多くの動物よりは強いのです。

人間が握力を発達させた理由は、道具の使用にあります。石器を作り、武器を持ち、物を運ぶために握力が必要だったのでしょう。

しかし現代社会ではその必要性が薄れてきています。デジタル機器の普及で、強い握力を必要とする作業が減少。その結果、平均的な握力は低下傾向にあるとも言われるのです。

握力100kgは人間として到達可能な上位レベルですが、動物界全体で見れば特別に強いわけではありません。それでも人間にとっては十分に「人間離れ」した数値と言えるでしょう。

握力100kgに到達する人の特徴

続いては握力100kgに到達できる人の特徴を確認していきます。

骨格・手の大きさの影響

握力100kgに到達するには、手の大きさと骨格が重要な要素となります。物理的に手が大きい方が、握力計をしっかり握れて有利なのです。

手の大きさは遺伝的に決まります。成人男性の平均的な手のひらの長さは約18〜19cmですが、握力100kg級の人は20cm以上あることが多いでしょう。

指の長さも重要。特に中指と薬指が長い人は、握力計のグリップを効率的に握れます。短い指では十分な圧力をかけられないのです。

骨格の太さも影響します。手首や前腕の骨が太いと、それだけ筋肉の付着面積が広くなり、より強い力を発揮できるのです。

手の大きさだけで握力が決まるわけではないが、100kg級を目指すなら手のひら19cm以上が望ましい

ただし手が小さくても、筋肉の質や神経系の発達で補える部分はあります。実際、手が比較的小さくても高い握力を持つ人は存在するのです。

関節の柔軟性も意外と重要。硬すぎる関節では握力計を最適な角度で握れず、本来の力を発揮できません。

遺伝と才能の関係

握力における遺伝の影響は、推定で50〜60%程度とされています。つまり半分以上は生まれつきの素質で決まってしまうのです。

速筋繊維の割合が遺伝的に決まっており、これが握力に大きく影響します。速筋繊維が多い人は爆発的な力を出しやすく、握力も高くなる傾向があるでしょう。

テストステロンなどのホルモンレベルも遺伝的な要素。男性ホルモンが多い人は筋肉がつきやすく、握力も向上しやすいのです。

神経系の効率性も遺伝します。筋肉に信号を送る神経の働きが良い人は、同じ筋肉量でもより強い力を発揮できるのです。

ただし遺伝が全てではありません。残りの40〜50%はトレーニングや生活習慣で変えられる部分。努力次第で大きく向上させることは可能でしょう。

親や祖父母の握力が強かった場合、その子孫も握力が強い傾向があります。家系的に握力が強い家族というのは実際に存在するのです。

職業・スポーツ経験との相関

握力100kgに到達する人の多くは、特定の職業やスポーツ経験を持っています。日常的に握力を使う環境にいることが、高い握力につながるのです。

建設業や林業、農業など肉体労働に長年従事している人は、自然と握力が鍛えられます。毎日重い工具や道具を使うことで、知らず知らずのうちに握力が向上するのです。

漁師も握力が強い職業の一つ。網を引いたり、魚を掴んだりする作業で前腕と握力が鍛えられます。特にマグロ漁などの大型魚を扱う漁師は、驚異的な握力を持つことがあるでしょう。

スポーツ経験では、柔道やレスリング、ボルダリングなど握力を直接使う競技が有利。10年以上の経験があれば、握力100kgに到達する可能性は高まります。

意外なところでは、ピアノやギターなど楽器の演奏者も指と前腕の筋力が発達します。ただし握力計で測定する力とは少し質が異なるため、必ずしも高い数値が出るわけではありません。

幼少期からの運動習慣も重要。子供の頃に木登りや鉄棒など、握力を使う遊びを多くしていた人は、成人後も握力が高い傾向があるのです。

一般人が握力100kgを目指すトレーニング方法

続いては一般人が握力100kgを目指す場合のトレーニング方法を確認していきます。

必要なトレーニング期間の現実

現実的に言えば、一般人が握力100kgに到達するのは極めて困難です。現在の握力レベルにもよりますが、相当な時間と努力が必要でしょう。

現在握力50kgの人が100kgを目指す場合、最低でも3〜5年、場合によっては10年以上かかる可能性があります。しかも到達できる保証はありません。

現在70〜80kgの人でも、100kgまでの最後の20〜30kgが最も困難。この領域は才能やトレーニング方法だけでなく、遺伝的な限界に近づいているためです。

握力100kg到達は一般人にとって非現実的な目標。70〜80kgを目指す方が現実的

年齢も大きな要因。20代であれば伸びしろがありますが、40代以降で100kgを目指すのはほぼ不可能に近いでしょう。加齢による筋力低下が避けられないためです。

多くの専門家は、握力100kgを目指すよりも、自分の年齢の平均+20〜30kgを目標にすることを推奨しています。これなら現実的に達成可能な範囲です。

それでも挑戦したい場合は、専門のコーチやトレーナーの指導を受けることが不可欠。独学では怪我のリスクが高く、効率も悪いのです。

効果的なトレーニングメニュー

握力100kgを目指す場合、専門的で高強度なトレーニングが必要になります。通常の握力トレーニングとは次元が異なるでしょう。

ヘビーグリッパーでのトレーニングが基本。COC(Captains of Crush)グリッパーのNo.3(127kg相当)やNo.4(167kg相当)を目標に、段階的に負荷を上げていきます。

デッドリフトなどの複合種目も重要。握力は前腕だけでなく、全身の筋力と連動しているため、総合的な筋力向上が必要なのです。週2〜3回、高重量でのトレーニングを行います。

ファーマーズウォークも効果的。重いダンベルやケトルベルを両手に持って歩くトレーニングで、握力の持久力と最大筋力の両方が鍛えられるでしょう。

ハンギング(ぶら下がり)も長時間行います。自重だけでなく、ウエイトを追加して負荷を高めることも。片手でのハンギングができれば、握力はかなり高いレベルにあります。

リストローラーでの前腕トレーニングも欠かせません。握力は前腕の筋肉と密接に関係しているため、前腕全体を鍛えることが重要なのです。

休養も極めて重要。高強度トレーニング後は最低48〜72時間の回復期間が必要。オーバートレーニングは逆効果で、怪我のリスクも高まります。

到達のためのポイントと注意点

握力100kgを目指すなら、栄養管理と回復にも細心の注意が必要です。トレーニングだけでは到達できません。

タンパク質摂取は体重1kgあたり2〜2.5g以上が目安。筋肉の材料となるタンパク質が不足すると、どんなにトレーニングしても筋肉は成長しないのです。

クレアチンなどのサプリメントも検討に値します。科学的に効果が実証されているサプリメントは、握力向上にも寄与する可能性があるでしょう。

睡眠は最低8時間、できれば9時間確保したいところ。筋肉の成長は睡眠中に起こるため、睡眠不足では効果が半減してしまいます。

怪我のリスクは常に意識すべき。特に腱鞘炎や肘の炎症は握力トレーニングで起こりやすい障害。痛みを感じたら即座に休養することが重要です。

握力100kg到達には5年以上かかる可能性が高く、途中で挫折する人が大半。長期的な視点が必要

モチベーション維持も課題。数年単位の長期目標のため、定期的に測定して進捗を確認し、小さな改善を喜ぶことが継続の秘訣でしょう。

最後に、100kgに到達できなくても悲観する必要はありません。70〜80kgでも十分に強く、日常生活やスポーツで大きなアドバンテージになるのです。

まとめ 握力100kgは割合や鍛え方・できることを徹底解説

握力100kgは一般人の中では0.1%未満、1000人に1人もいない極めて稀なレベルです。世界記録は192.5kg、日本記録は116.5kgであり、100kgでもトップレベルにはまだ距離があります。しかし一般人の感覚では十分に「人間離れ」した数値でしょう。

握力100kgあれば、リンゴやジャガイモは余裕で潰せ、テニスボールも完全にペシャンコにできます。クルミも殻ごと握り潰せるレベル。ただしココナッツやゴルフボールは難しく、人間の握力にも限界があるのです。

動物と比較すると、チンパンジーの半分以下、ゴリラの6分の1程度。人間の握力は動物界では中程度のレベルですが、それでも100kgは人間としては最上位クラスです。

一般人が100kgを目指すのは非現実的。現在50kgの人なら3〜5年以上、場合によっては10年以上かかる可能性があり、到達できる保証もありません。70〜80kgを現実的な目標として設定し、専門的なトレーニングと栄養管理、十分な休養を組み合わせることが重要でしょう。