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シュウ酸の電離式・イオン式・化学式は?価数は何価かも解説

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シュウ酸の価数は何価なのか、電離式はどう書くのか、化学式はどう表すのかについて、化学を学び始めた方や受験勉強中の方から「よくわからない」という声をよく耳にします。

シュウ酸は日常的に食品にも含まれる身近な物質でありながら、化学的な性質を正確に理解しようとすると、価数や電離式・イオン式などの概念が複雑に絡み合ってくるため、混乱しやすい分野のひとつでもあります。

この記事では、シュウ酸の価数は何価?電離式・イオン式・化学式からわかりやすく解説していきます。

ポイントは

・シュウ酸は二価の弱酸であり、化学式はH₂C₂O₄(またはC₂H₂O₄)で表される

・電離式は二段階で起こり、シュウ酸イオンC₂O₄²⁻が生じる

・価数・電離式・イオン式をセットで理解することで中和滴定や酸化還元反応の計算が解きやすくなる

です。

それでは詳しく見ていきましょう。

 

シュウ酸の価数は「二価」(にか)である【結論と理由】

それではまず、シュウ酸の価数について解説していきます。

シュウ酸の価数は「二価(にか)」です。

価数とは、酸が水溶液中で放出できる水素イオン(H⁺)の数のことを指します。

シュウ酸は水溶液中で最大2個の水素イオンを放出できるため、二価の酸に分類されます。

シュウ酸の化学式はH₂C₂O₄(またはC₂H₂O₄と書く場合もあります)であり、分子内に水素原子Hが2個含まれています。

この2個の水素が水素イオンH⁺として電離する可能性を持っているため、価数は2となるわけです。

シュウ酸は「二価の弱酸」です。価数が2であること、そして完全には電離しない弱酸であることの両方を、セットで覚えておきましょう。

一価の酸(塩酸HClや酢酸CH₃COOHなど)との違いを意識すると、価数の概念が理解しやすくなるでしょう。

塩酸は一個のH⁺しか放出できませんが、シュウ酸はその倍、二個のH⁺を放出できる点が大きな違いです。

この「二価」という性質は、中和反応式を立てるときや中和滴定の計算をするときに非常に重要になってきます。

 

価数と酸の強弱は別の概念

ここで注意したいのが、価数と酸の強弱は全く別の概念だという点です。

価数はあくまで「放出できるH⁺の最大数」であり、実際にどれだけH⁺を放出するかを表す「酸の強弱」とは区別して考える必要があります。

シュウ酸は二価ですが、強酸ではなく弱酸に分類されます。

弱酸とは、水溶液中で完全には電離せず、一部だけ電離する酸のことです。

たとえば硫酸H₂SO₄も二価の酸ですが、こちらは強酸です。

シュウ酸と硫酸はともに二価でありながら、酸の強さが異なるという好例といえるでしょう。

酸の名前 化学式 価数 強酸・弱酸
シュウ酸 H₂C₂O₄ 二価 弱酸
硫酸 H₂SO₄ 二価 強酸
塩酸 HCl 一価 強酸
酢酸 CH₃COOH 一価 弱酸
リン酸 H₃PO₄ 三価 弱酸

価数と強弱を混同してしまうと、中和の計算で誤りが生じやすくなります。

「シュウ酸=二価の弱酸」という組み合わせをしっかりと頭に入れておくことが大切です。

 

シュウ酸の化学式と構造を確認する

シュウ酸の化学式はH₂C₂O₄です。

示性式で表すと(COOH)₂となり、カルボキシ基(-COOH)が2つ結合した構造をしています。

【シュウ酸の化学式・示性式・構造式】

分子式:C₂H₂O₄

化学式:H₂C₂O₄

示性式:(COOH)₂

構造式:HOOC-COOH(カルボキシ基が2つ直結した構造)

分子量:90(C₂H₂O₄ → 12×2+1×2+16×4=90)

カルボキシ基(-COOH)は酸としての性質を示す官能基であり、1つのカルボキシ基から1つのH⁺が電離します。

シュウ酸には-COOHが2つあるため、最大で2つのH⁺を放出できる=二価の酸、という関係が成り立ちます。

 

シュウ酸二水和物の価数も同じ「二価」

実験室でよく使われるシュウ酸二水和物(H₂C₂O₄・2H₂O)の価数についても確認しておきましょう。

水和物とは、結晶の中に水分子が含まれた状態のことです。

シュウ酸二水和物は水分子が2個結合していますが、この水分子はH⁺の放出には関与しません。

したがって、シュウ酸二水和物の価数も無水シュウ酸と同じく「二価」です。

中和滴定の計算では、シュウ酸二水和物の式量(126)を使って物質量を求め、価数2を掛けてH⁺の物質量を計算する流れになります。

【シュウ酸二水和物の基本データ】

化学式:H₂C₂O₄・2H₂O

分子量(式量):126(90+18×2=126)

価数:二価(水和水は価数に無関係)

水溶液中での振る舞い:水和水が外れ、H₂C₂O₄として電離

「二水和物だから価数が変わるのでは?」と混乱しやすい点ですが、価数は分子構造中のカルボキシ基の数で決まりますので、水和水の有無は関係ありません。

 

シュウ酸の電離式【二段階電離をわかりやすく解説】

続いては、シュウ酸の電離式を確認していきます。

シュウ酸は二価の酸であるため、電離は一度ではなく二段階に分けて起こります。

この二段階電離の仕組みを理解することが、シュウ酸の化学を正確に把握する上での重要なポイントです。

 

第一段階の電離式

まず第一段階の電離式を見てみましょう。

【第一段階の電離式】

H₂C₂O₄ ⇌ H⁺ + HC₂O₄⁻

(シュウ酸が電離して、水素イオンとシュウ酸水素イオンが生じる)

第一段階では、シュウ酸H₂C₂O₄が1つのH⁺を放出し、シュウ酸水素イオンHC₂O₄⁻(ビオキサレートイオンとも呼ばれます)が生じます。

⇌(逆向きの矢印)が使われている点に注目してください。

シュウ酸は弱酸であるため、完全には電離せず、電離した状態と電離していない状態が平衡を保っています。

強酸の電離式では→(一方向の矢印)を使いますが、弱酸では⇌を用いるのが正しい書き方です。

 

第二段階の電離式

次に第二段階の電離式を確認します。

【第二段階の電離式】

HC₂O₄⁻ ⇌ H⁺ + C₂O₄²⁻

(シュウ酸水素イオンがさらに電離して、水素イオンとシュウ酸イオンが生じる)

第二段階では、シュウ酸水素イオンHC₂O₄⁻がさらに1つのH⁺を放出し、シュウ酸イオンC₂O₄²⁻(オキサレートイオンとも呼ばれます)が生じます。

第二段階の電離は第一段階よりもさらに起こりにくい(電離定数が小さい)ため、水溶液中では第一段階の電離が主体となっています。

第二段階で生じるシュウ酸イオンC₂O₄²⁻は、過マンガン酸カリウムとの酸化還元反応や、カルシウムイオンとの反応(シュウ酸カルシウムの生成)において重要な役割を果たします。

 

全体の電離をまとめて書く場合

受験化学や実験の計算では、二段階の電離をまとめて一つの式で表すこともあります。

【全体の電離式(まとめて表記)】

H₂C₂O₄ ⇌ 2H⁺ + C₂O₄²⁻

(シュウ酸が完全に電離したと仮定した場合の式)

この式は、シュウ酸が二価の酸として2つのH⁺を放出し、シュウ酸イオンC₂O₄²⁻が生じることを示しています。

中和の計算では「シュウ酸1molから2molのH⁺が生じる」という関係を使いますので、この全体式を使いこなせるようにしておくとよいでしょう。

電離の段階 電離式 生じるイオン
第一段階 H₂C₂O₄ ⇌ H⁺ + HC₂O₄⁻ シュウ酸水素イオン HC₂O₄⁻
第二段階 HC₂O₄⁻ ⇌ H⁺ + C₂O₄²⁻ シュウ酸イオン C₂O₄²⁻
全体(まとめ) H₂C₂O₄ ⇌ 2H⁺ + C₂O₄²⁻ 水素イオン2個+シュウ酸イオン

電離式を書く際は、矢印の方向(⇌)と係数、イオンの価数(上付きの数字)を正確に書くことが大切です。

特にC₂O₄²⁻の「2−」という価数を忘れずに書くようにしましょう。

 

シュウ酸のイオン式・イオン反応式【シュウ酸イオンC₂O₄²⁻の基礎】

続いては、シュウ酸のイオン式とイオン反応式について確認していきます。

シュウ酸の電離によって生じるシュウ酸イオンC₂O₄²⁻は、化学反応において重要な役割を担います。

シュウ酸イオンC₂O₄²⁻は二価の陰イオンであり、カルシウムイオンや鉄イオンなどと反応して沈殿を生じやすい性質を持っています。

 

シュウ酸イオンのイオン式

シュウ酸イオンのイオン式は以下のとおりです。

【シュウ酸イオンのイオン式】

C₂O₄²⁻

(炭素2個・酸素4個からなる二価の陰イオン)

別名:オキサレートイオン(oxalate ion)

C₂O₄²⁻の「2−」は、このイオンが2つの負電荷を持つことを示しています。

これはシュウ酸H₂C₂O₄から2つのH⁺が取れた結果、2つ分の負電荷が残ったためです。

イオン式を書くときは必ず電荷(2−)を右肩に記載するようにしてください。

 

シュウ酸カルシウム生成のイオン反応式

シュウ酸イオンがカルシウムイオンと反応すると、水に難溶性のシュウ酸カルシウムが沈殿します。

【シュウ酸カルシウム生成のイオン反応式】

Ca²⁺ + C₂O₄²⁻ → CaC₂O₄↓

(カルシウムイオンとシュウ酸イオンが反応し、シュウ酸カルシウムの白色沈殿が生じる)

↓は沈殿が生じることを示す記号です。

シュウ酸カルシウムCaC₂O₄は水にほとんど溶けない白色の固体であり、尿路結石の主成分として知られています。

食品中のシュウ酸がカルシウムと結合して体内で吸収されにくくなることも、このイオン反応が原因です。

 

シュウ酸と水酸化ナトリウムのイオン反応式

シュウ酸と水酸化ナトリウムNaOHの中和反応のイオン反応式も確認しておきましょう。

【シュウ酸と水酸化ナトリウムのイオン反応式】

H₂C₂O₄ + 2OH⁻ → C₂O₄²⁻ + 2H₂O

(シュウ酸が水酸化物イオン2個と反応し、シュウ酸イオンと水が生じる)

シュウ酸は二価の酸であるため、完全に中和するには水酸化物イオンOH⁻が2個必要です。

NaOHは一価の塩基ですので、シュウ酸1molを完全に中和するにはNaOHが2mol必要という関係が、このイオン反応式からも読み取れます。

反応の種類 イオン反応式 生成物
シュウ酸+カルシウムイオン Ca²⁺ + C₂O₄²⁻ → CaC₂O₄↓ シュウ酸カルシウム(白色沈殿)
シュウ酸+水酸化ナトリウム H₂C₂O₄ + 2OH⁻ → C₂O₄²⁻ + 2H₂O シュウ酸イオン+水
シュウ酸イオン+過マンガン酸カリウム 5C₂O₄²⁻ + 2MnO₄⁻ + 16H⁺ → 10CO₂ + 2Mn²⁺ + 8H₂O 二酸化炭素・マンガンイオン

上の表に示したように、シュウ酸イオンはさまざまな化学反応に関与しますので、それぞれのイオン反応式を整理して覚えておくとよいでしょう。

 

シュウ酸水溶液の価数と性質【水溶液中での振る舞いを理解する】

続いては、シュウ酸水溶液の性質について確認していきます。

シュウ酸を水に溶かした水溶液(シュウ酸水溶液)は、弱酸性を示します。

シュウ酸水溶液は無色透明の液体であり、酸性を示すためpHは7未満となります。

 

シュウ酸水溶液のpHと電離度

シュウ酸は弱酸であるため、水溶液中では一部しか電離しません。

電離度は濃度によって異なりますが、一般的に0.1mol/L程度の水溶液では電離度が小さく、pHは強酸の塩酸などよりも高め(酸性が弱め)になります。

【シュウ酸水溶液の性質まとめ】

外観:無色透明

性質:弱酸性(pH<7)

電離:二段階で電離(弱酸なので不完全)

価数:二価

pKa(酸解離定数):第一電離 pKa₁≒1.25、第二電離 pKa₂≒4.27

pKaが小さいほど電離しやすい(酸が強い)ことを示します。

シュウ酸の第一電離のpKaは約1.25と弱酸の中では比較的小さく、弱酸の中では比較的強い酸性を示します。

これはシュウ酸が「弱酸の中では強め」という特殊な位置づけにある酸であることを示しています。

 

シュウ酸水溶液の価数を使った計算例

シュウ酸水溶液の価数を使った計算例を確認しておきましょう。

【計算例:シュウ酸水溶液の中和に必要なNaOHの量】

問:0.10mol/Lのシュウ酸水溶液10mLを完全に中和するには、0.10mol/LのNaOH水溶液が何mL必要か。

解:

シュウ酸の物質量=0.10mol/L × 0.010L=0.0010mol

シュウ酸は二価の酸なので、放出するH⁺の物質量=0.0010 × 2=0.0020mol

NaOHは一価の塩基なので、必要なNaOHの物質量=0.0020mol

必要なNaOH水溶液の体積=0.0020mol ÷ 0.10mol/L=0.020L=20mL

答:20mL

このように、シュウ酸が二価であることを考慮して計算するのがポイントです。

一価と間違えて計算すると答えが半分になってしまいますので、「シュウ酸=二価」を必ず確認してから計算を始めるようにしましょう。

 

シュウ酸ナトリウム・シュウ酸二水和物の価数と用途【実験での活用】

続いては、実験室でよく使われるシュウ酸ナトリウムとシュウ酸二水和物の価数と用途について確認していきます。

シュウ酸は純粋な状態では固体であり、実験では主にシュウ酸二水和物(H₂C₂O₄・2H₂O)またはシュウ酸ナトリウム(Na₂C₂O₄)の形で使われます。

シュウ酸二水和物は標準溶液の調製に、シュウ酸ナトリウムは酸化還元滴定の一次標準物質としてよく利用されます。

 

シュウ酸ナトリウムの基本データと価数

【シュウ酸ナトリウムの基本データ】

化学式:Na₂C₂O₄

分子量:134

性質:白色固体、水に溶けやすい

酸としての価数:(塩なので直接の酸としての価数はなし)

還元剤としての電子放出数:C₂O₄²⁻ 1molあたり2molの電子を放出

シュウ酸ナトリウムはシュウ酸の塩であり、酸としての価数という概念は直接当てはまりません。

ただし、過マンガン酸カリウムとの酸化還元反応では、シュウ酸イオンC₂O₄²⁻が還元剤として働き、1molあたり2molの電子を放出します。

この「2mol」という数字がシュウ酸の「二価」という性質と対応しており、計算問題でも重要な数字になります。

 

シュウ酸二水和物を標準溶液に使う理由

シュウ酸二水和物が中和滴定の標準溶液(一次標準物質)として使われる理由はいくつかあります。

理由 詳細
純度が高い 市販品で高純度のものが入手しやすい
組成が安定 二水和物として結晶が安定しており、正確に秤量できる
分子量が既知 式量126が正確に決まっており、濃度計算しやすい
価数が明確 二価であることが明確で、中和の計算が立てやすい

このような特性から、シュウ酸二水和物は化学実験の現場で広く使われている標準物質です。

特に過マンガン酸カリウム水溶液の濃度を決定する酸化還元滴定では、シュウ酸ナトリウムまたはシュウ酸二水和物が一次標準物質として利用されます。

 

シュウ酸の価数に関する間違いやすいポイントと注意点

続いては、シュウ酸の価数に関して間違いやすいポイントと注意点を整理していきます。

シュウ酸は化学の問題でよく登場する物質ですが、価数・電離式・イオン式の書き方でつまずくケースが多く見られます。

よくある間違いを事前に把握しておくことで、試験や実験での失点を防ぐことができます。

 

間違いやすいポイント① 電離式の矢印

シュウ酸は弱酸であるため、電離式には⇌(可逆の矢印)を使います。

→(一方向の矢印)を使ってしまうと、完全に電離する強酸の表記になってしまうため誤りです。

【正しい書き方と誤った書き方】

○ 正:H₂C₂O₄ ⇌ H⁺ + HC₂O₄⁻(弱酸なので⇌)

× 誤:H₂C₂O₄ → H⁺ + HC₂O₄⁻(→は強酸の表記)

試験では矢印の種類まで採点対象になることがありますので、細かい部分まで正確に書く習慣をつけておくとよいでしょう。

 

間違いやすいポイント② シュウ酸イオンの電荷の書き忘れ

シュウ酸イオンC₂O₄²⁻を書くとき、「2−」という電荷を忘れてしまうケースが多く見られます。

C₂O₄だけでは分子式と区別がつかず、イオンであることが伝わりません。

【正しいイオン式】

○ 正:C₂O₄²⁻(電荷「2−」を右肩に記載)

× 誤:C₂O₄(電荷の記載なし)

右肩の「2−」を忘れずに記載することが、正確なイオン式を書く上で欠かせないポイントです。

 

間違いやすいポイント③ 中和計算で価数を使い忘れる

中和の計算では「酸のmol × 価数 = 塩基のmol × 価数」という関係式を使います。

シュウ酸の価数2を代入し忘れて計算すると、答えが半分になってしまう誤りが起きやすいです。

【中和計算の公式】

酸のmol × 価数(a) = 塩基のmol × 価数(b)

シュウ酸の場合:mol × 2 = NaOHのmol × 1

→ シュウ酸1molに対してNaOH 2molが必要

計算を始める前に「シュウ酸の価数は2」と確認するひと手間を習慣にしておくと、計算ミスを防ぎやすくなります。

 

間違いやすいポイント④ 二水和物の価数を別物と考えてしまう

シュウ酸二水和物H₂C₂O₄・2H₂Oと無水シュウ酸H₂C₂O₄の価数は同じ「二価」です。

水和水の有無は価数に影響しませんが、分子量(式量)は異なります。

「価数は同じ・式量は違う」という点をしっかり区別して覚えておくことが重要です。

物質 化学式 分子量(式量) 価数
シュウ酸(無水) H₂C₂O₄ 90 二価
シュウ酸二水和物 H₂C₂O₄・2H₂O 126 二価

式量を使った物質量の計算では90と126を間違えないように注意し、価数はどちらも2として計算するようにしてください。

 

シュウ酸の価数と電離式を活かした入試頻出問題パターン

続いては、シュウ酸の価数と電離式が問われる入試頻出の問題パターンを確認していきます。

受験化学においてシュウ酸は、中和滴定・酸化還元滴定の両方で頻繁に登場する重要物質です。

価数・電離式・イオン式の知識を組み合わせて解く問題が多いため、それぞれを正確に理解しておくことが得点力アップの近道です。

 

頻出パターン① 中和滴定の計算

【典型問題】

シュウ酸二水和物1.26gを水に溶かして100mLの水溶液を作った。この水溶液10mLを中和するのに0.10mol/LのNaOH水溶液が何mL必要か。

【解法】

シュウ酸二水和物の式量=126

シュウ酸の物質量=1.26÷126=0.010mol(100mL中)

10mL中のシュウ酸の物質量=0.010×(10/100)=0.0010mol

シュウ酸は二価なので、H⁺の物質量=0.0010×2=0.0020mol

必要なNaOHの物質量=0.0020mol

NaOH水溶液の体積=0.0020÷0.10=0.020L=20mL

この問題のように、式量126と価数2の両方を正確に使いこなすことが求められます。

 

頻出パターン② 過マンガン酸カリウムとの酸化還元滴定

【典型問題】

シュウ酸酸性水溶液中でシュウ酸イオンC₂O₄²⁻が過マンガン酸イオンMnO₄⁻に酸化される反応のイオン反応式を書け。

【解法:半反応式から組み立てる】

還元剤(シュウ酸イオン):C₂O₄²⁻ → 2CO₂ + 2e⁻

酸化剤(過マンガン酸イオン):MnO₄⁻ + 8H⁺ + 5e⁻ → Mn²⁺ + 4H₂O

電子数を合わせてまとめると:

5C₂O₄²⁻ + 2MnO₄⁻ + 16H⁺ → 10CO₂ + 2Mn²⁺ + 8H₂O

シュウ酸イオンの半反応式「C₂O₄²⁻ → 2CO₂ + 2e⁻」はそのまま暗記しておくと便利です。

シュウ酸1molから2molの電子が放出されるという点が、価数「二価」と対応していることを意識しておくと覚えやすいでしょう。

 

頻出パターン③ 電離式の記述問題

【典型問題】

シュウ酸H₂C₂O₄の第一電離と第二電離の電離式をそれぞれ書け。

【解答】

第一電離:H₂C₂O₄ ⇌ H⁺ + HC₂O₄⁻

第二電離:HC₂O₄⁻ ⇌ H⁺ + C₂O₄²⁻

【注意点】

・⇌(可逆矢印)を使うこと

・C₂O₄²⁻の電荷「2−」を忘れないこと

・第一・第二の順番を正確に理解すること

記述問題では矢印の種類・係数・イオンの電荷すべてが採点対象になりますので、丁寧に書くことを意識してください。

 

まとめ シュウ酸の価数は何価?電離式・イオン式・化学式からわかりやすく解説

シュウ酸の価数と電離式についてまとめると、以下のとおりです。

シュウ酸の価数は「二価」であり、これはカルボキシ基(-COOH)が2つあることに由来します。

化学式はH₂C₂O₄(示性式は(COOH)₂)であり、分子量は90、二水和物の式量は126です。

電離は二段階で起こり、第一段階でHC₂O₄⁻(シュウ酸水素イオン)が、第二段階でC₂O₄²⁻(シュウ酸イオン)が生じます。

全体の電離式はH₂C₂O₄ ⇌ 2H⁺ + C₂O₄²⁻と表され、弱酸であるため⇌(可逆矢印)を使います。

中和計算では価数2を忘れずに代入すること、電離式では⇌とC₂O₄²⁻の電荷「2−」を正確に書くことが重要なポイントです。

シュウ酸二水和物の価数も無水シュウ酸と同じく二価ですが、式量が90と126で異なる点に注意が必要です。

入試では中和滴定・酸化還元滴定・電離式の記述問題が頻出ですので、今回解説した内容をしっかりと整理して、計算問題にも自信を持って取り組んでいただければ幸いです。


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